万有引力 第9回公演 SUNA 砂漠の動物園・改訂版 (1986)

 カテゴリ: 天井桟敷・万有引力

万有引力 第9回公演 SUNA 砂漠の動物園・改訂版 (1986)

1986年8月~9月 第9回公演 (英国エジンバラ演劇フェスティバル・フリンジファースト受賞)
SUNA
砂漠の動物園・改訂版
会場
イギリス、スコットランド他
↓↓演劇実験室◎万有引力新聞【3】1986年10月22日発行 より↓↓
「西洋の俳優、照明家たちは一度、この劇団を見に行くべきだ!!中でもすごいのは、空間の使い方だ!一ミリの空白もない 舞台空間の創出!来年は必ず、ギリシャにある私の移動劇場で公演して欲しい!!」と、ミッシェル・ジュリアン (元・国際演劇協会の異端児)。また、ラッセル・ハーティーは、その番組の冒頭で 「アジアから来た小さな騎士たち!その名は《SUNA》」と紹介した。そう!我々は亜細亜から来た小さな騎士! 初の海外公演というプレッシャーをものともせず、イギリスの観客に『演劇の鉾』を掲げたのである。 演劇実験室◎万有引力の一行20名は成田空港を出発。これは、その遠征中の各紙の反響と報告レポートである!! 「小さな劇場の舞台前方にしつらえられた何の変哲もない10メートル四方の砂場が、いかなる呪術 的な力によってか、見る見るうちに熱い嵐が吹きすさぶ巨大な砂漠に変貌するのを私はわれとわが目で確かに 確認した。〈万有引力〉が、’85年夏に上演した「砂の動物園」こそは、寺山修司の急逝後、八月に解散した旧、 天井桟敷の演劇者たちが到着しえた記念すべき里程標である。」(松田政男=映画評論家)
8月13日
エジンバラに着いた翌日。アッセンブリ・ルームのオフィスに行くと、すでにタイムアウト・イン・エジンバラの 一面に我々の紹介記事が掲載されているのに驚いた。ポスターも街中に貼られ、「SUNA?SUNA?」 と握手を求められた。
8月14日
BBC国営放送の取材。俳優の整髪のセレモニーの撮影。各紙の取材責めに合う。 その記事は翌日から、三日に渡って連続掲載された。
8月18日
「SUNA」初日。毎日、15分で仕込み、上演、終演後、15分で片付けといったハードなスケジュールで あった。12回公演。
9月1日
I・C・A劇場の初日。「従来の身訓が出来るぞ」と劇団員たちは大ハリキリ。7回公演
9月8日
ノースハンプトンのデンゲイト劇場にて上演。
9月10日
ロンドン。ライム・ライトという高級ディスコクラブにて上演。
9月15日
プレストンのチャーターシアターにて上演。
9月16日・17日
マンチェスターフェスティバルに参加。ロイヤル・ノザァン・カレッジ・オブ・ミュージックという国立音楽院にて 上演。
全24回公演。
◎シティ・ライフ評◎
新しい劇団というものは、トロントやトゥールーズの一部をとってみても、東京の一部をとってみても ほとんどかわらない。どこへいってもそう思えるのだが、特に言っておく必要がある。何年か前に、日本で 寺山修司という、秀れた演出家の手で、ひとつの劇団がつくられた。彼の死は、あまりにも早くやって来た。 しかし、彼の思想は、その劇団に属していた人々でつくられたグループ「万有引力」の中に生き続けている。 (中略)、全てが壮大な効果となっており、巧綴な幾千万もの支柱によってたくみにあやつられている。 秀れた新しい劇団がすべてそうであるように、この劇団も驚異に満ちており、自分本位のものではない。
◎スコッツマン評◎
「とにかく行ってみて下さい!!」というのは、御親切な批評家先生のよくある忠告であるが、ことこの芝居では、 それはとくに強く言えることである。その驚くべきスペクタクルは、言い表すことが特に容易でないからだ。 「SUNA」は、肉体をフルに使った力強さが表現するシュールレアリズムである。アッセンブリー・ルームの ミュージック・ホール・ステージの高さと広さをもつ空間は、砂と石と、木製の足場に占められた地と化している。 その中で完璧に鍛えぬかれた俳優の動きである。万有引力のダンサーたちは、感覚をみなぎらせる極東のイメージ を作り出している。サウンド・ライトやスライドの映像と一体となる。演劇的実験作業を彼らの手に、 まったくちがったレベルで委ねてみたいと思う人、また、きわめて非日常的な刺激と美の目撃者となることを 望む人向けの芝居である。
◎タイム・アウト評
寺山修司の天井桟敷の待望の後継者が東京からやってきた!!トータルシアターと呼ばれるものは、 どこにでもあるが、ざっくばらんに言って、この劇団は、その中でも、もっとも刺激的で魅力的なものである。 感動と興奮を切望する人、ロックンロールしたい人には見逃せない。高度に絡み合い、関連性を持続させながら 進行する14のシーン、ワイルドに振り付けされた跳躍と動き、センセーショナルな照明操作、 ある時は場面に轟き渡り、ある時は憂いに満ちた世界を表現する音楽演奏。摩可不思議な衣裳、西洋の俳優たちを 袖にもかけないほどの素晴らしい動きを見せる俳優たちの肉体、これらの要素が、この芝居の力強いイメージを与え、 独自の創造性を際立たせている。鍛えられた肉体と呪術の織りなす餐宴!それは喧操と極彩美!立ち上る 煙に色どられた驚異に満ちた世界だった!!私はこういうのが好きかって? もちろん!!