万有引力 第14回公演 ペストの肖像 -わたしたちは世界の病、あらゆる省察の母体です- (1988)

 カテゴリ: 天井桟敷・万有引力

万有引力 第14回公演 ペストの肖像 -わたしたちは世界の病、あらゆる省察の母体です- (1988)

1988年7月29日(金)~7月31日(日) 第12回公演 5ステージ
ペストの肖像
-わたしたちは世界の病、あらゆる省察の母体です-

今や偉大な性格をそなえた女たちだけが、俺たち男どもの幸福をつくってくれるんだ!!

漂流か!安住か! 病気は土地や他人からではなく 自分自身の中で起こり沈むのだ! しかし、町のあちこちで野口式体操を はじめる人が!蔓延防止に乗り出した鳥の頭の形をした奇妙な防疫服に身をつつんだ医者たちが、 あらゆる衣類と頭髪を焼き払い真っ裸になった文明人の舞踏病が… やがて、予測もつかない治療法を求めて人々は町から消えた。 翌日、残った数人の人たちの前から突然現れた少女・風子と旅芸人の一座の正体は?

演劇実験室◎万有引力が、現代の病いを、「不在の視点」から鋭く抉りながら、 奇想天外な世界を展開する久々の新作!!

馬鹿げたことは、結論をつけたがること! 医者なんてのは、病気のあるときは望みをかけるが、健康なときには、犬をけしかけたくなる! ギリシャの季節風《エテシアイ》を吹かせて! いいか、マンディ 「はじまり」は、誇張されることを 怖がってちゃダメなんだ! 人間は、人間の知性では測り知れない、深くて巨大な世界をもっている。

人間の思想のなかで重要なことは彼等が考えたことよりもむしろ彼等によって考えられなかったことの方である――ミッシェル・フーコー(臨床医学の誕生)

会場
浅草プレイス24
料金
前売り2300円 当日2500円
スタッフ
作・演出・音楽
J・A・シーザー
共同台本
根本豊
美術
ツール・ヴァーグ 安藤美津子
照明
ヒカリボタル・カンパニー
音響
馬場敦子
美粧
上海綾子 ナカタケイコ
舞台監督
水岡彰宏
制作
寺原孝明 渡邊倫彦 万有引力
キャスト
サルバドール・タリ 根本豊 水岡彰宏 高田恵篤 中村亮 海津義孝
松丸純子 ナカタケイコ 須崎晃 袴田貴子
大坪美馨 伊東恵美 伊野尾理枝 森脇希利子 山田早苗 古川裕子 阿部里加 松山里美 夏海遊子
解説
この劇は、劇的なるものの伝奇的ノートであり、幻想詩劇に近いものである。 ペストの肖像(似姿)、つまり現代の無目的の不快感、大衆行動、偶然の明示に しかすぎない流行るものといったペスト的現象を、風と身体の倶舎論《病は躰内 に吹く「内風」の不調によって起こる。それを治療するのは技術(医学)ではなく、 もう一人の自分自身である内風との会話によってのみである》や、ヒポクラテスの 論じた「風の人の躰との関わり=風―大気―空気―息はひとつのものである」といった図式。 つまり、もともと風土病であった疫病が、発源地から遠く離れた土地に伝播し、 世界的流行となった直接の要因は文明の誇張と文化の交流にあったということや人が動き、 物が動くと病気も動くという伝達・感染の法則に置きかえ、それをそのまま俳優によって伝達され、 感染されてゆく一つの演劇的状態と照合しながら、我々の内なる自然の動きを活するという、 つまり「風邪は上手に経過すると、他の病気も治り、躰そのものも強くなる」という 起こらなかった治療法(民間医療法・鍼快心療法)。 さらには、あらゆる世界の出来事(新聞の片隅の小さな身投げ記事、 たずね人広告といった他人という形で切り離されてゆく現実)を自己の肉体に内包することによって、 現代を、歴史を眠りから醒まし、他人めぐりをさせることや、 肉体と精神のありとあらゆる動きを自発的に方向づけてゆくことを試みようとするものである。